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エッセイ 

某大学のメールマガジンに寄稿した(させられた?)エッセイです。

私が子供の頃に好きだった本の一つに、指揮者の小澤征爾氏による「ボクの音楽武者修行」(新潮社)という本があります。若干24歳であった小澤氏が、ヨーロッパで指揮者としての勉強をすべくスクーターとともに貨物船に乗り込み、フランスへと渡ります。到着後は日の丸を貼り付けたスクーターに、ギターを背負ってフランスの町を駆け抜けながらブザンソン国際指揮者コンクール優勝を皮切りに、ヨーロッパ各地の指揮者コンクールを荒らしまくり、2年後にニューヨーク・フィルハーモニック管弦楽団の副指揮者として日本に凱旋帰国するまでのお話が青春の躍動感と瑞々しい感性あふれる文体で綴られています。

 この本の中でもっとも印象に残ったのは小沢氏が神戸港を出向したときを振り返る場面でした。「…出港する貨物船に手を振る見送りの人々を見ながら何とも言えない気持ちになったのを覚えている。大人になるという事は、段々こういう気持ちになる機会が減っていく、という事ではないか」と、大体こんなことが書いてありました(すいません、何せ25年以上前に読んだ本なので、正確に覚えておりません)。私がこの本を手に取ったのは13歳の夏。何度も読み返し、「指揮者」「ヨーロッパ」に憧れ、お小遣いをためて買った小沢氏のLP盤レコード(当時はCDはありませんでした…)にそっと針を落としたのでした。

 さて今回取り上げたいのは「大人になる」ということ。「人は未知の事に取り組む際のドキドキ感、新鮮さを失いながら大人になっていくんだなぁ」と思っていましたが、最近妙に納得できます。学会や国際会議で講演する際、昔は朝食も取れないほど緊張していたものでした。大学での講義でもやはり着任当時は授業開始直前まで講義ノートに書き込みを入れていました。ふと今のわが身を振り返ると、(もちろん真剣にやっているのですが)多少「慣れ」というものが出てきた気がします。例えば演壇や黒板の前に立っても頭の中が真っ白にならない。想定外の質問にも何とか対処できる。いずれも冷静に対処できるようになったということです。あれ? もしかして「ドキドキ感」や「新鮮さ」を失っている? いけない、いけない。本業である研究や教育に関しては、これからも「大人になる」ことなく、緊張感ほとばしる講演や授業をしたい、と今学期の成績をつけながら思う今日この頃です。
[ 2007/02/21 20:14 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

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