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【引用】よい論文の書き方 

このブログ(http://d.hatena.ne.jp/rkmt/20101215/1292374172)からの引用です。



研究室用に書いた文書を転載します。主に工学系(コンピュータサイエンス系)分野の査読付き学会や論文誌に投稿することを想定しています。

以下は論文を書くときに個人的に気をつけていることです:

メッセージをシンプルに
要するに何が言いたいのかが一言でサマライズできていること。記憶に残ること。
メッセージが伝わらないと、そもそも査読で落とされるし、たとえ学会で発表できたとしても誰も覚えていてくれない。実際、国際学会でも発表論文の多くが誰にもリファーされず、翌年になると忘れられている (どんな論文がどのくらい参照されているかはMicrosoft Academic Searchなどでわかる)。

なぜこの問題が重要なのか・問題の原因は何か・どんな解決案を提案するのか・その効果は本当か・他にどんな研究があるか(なぜそれらの既存研究ではだめなのか)・誰のために役に立つのか・どう発展できるか(どんな応用があるか)、などを明確に述べる。

これらの項目は、論文を書き始めるときではなく、研究を始めるとき(アイデアを思いついた瞬間)に、まずまとめておくのが望ましい。この箇条書きがスムーズに出てくるのが「素性の良い研究アイデア」と言える。「あ、ひらめいた」というときに、3.の各観点からアイデアを吟味してみる。また「もしこのネタ(アイデア)で論文書くとしたら、どうなるだろう」と論文ストーリーを書きだしてみる。たぶん10分もかからない作業だが、こうやって言語化することでアイデアの良し悪しや素性が見えてくるし、最初のひらめき以上にアイデアを膨らますことができる。もうひとつの指標としては「論文タイトルがすっきりと決まる」ような研究アイデアは素性がいい。論文を書き始めるときも、まずこれらの要素がちゃんと自分で整理できていると「書けそう」という気になる。

逆に、かなり作り込んでしまってから「これどうやって論文にしよう」と悩みだすと苦しいし、たいていうまくいかない。(最近こういう相談をよくされるので強調しておく。考えなしにやりだしてもダメ。出来た!これでいける、と思ってもうまくいかないのが研究。ましてや....)作っているうちに何かみえてくるだろう、というのはリスキーな考え方。また、ぱっと見素性の良くなさそうなアイデアは結局素性がよくない場合が多い。 最初の方向を間違うと一生懸命頑張っても時間が無駄になる。

査読者フレンドリーに。
査読する人の立場になれば逆にどんな論文が「良い」かがわかる。テクニカルには「通る論文が良い論文」だし「論文は査読者のために書くもの」とも言える。査読する人は、タイトルを確認して、論文全体をパラパラと見渡して、図を見て、abstractとconclusionを読んで、ぐらいの段階である程度は判定態度を決めている。そこまでで「つまらない」と思われるともうだめ。文章だけではなく、全体のレイアウト、版面としての美しさにまで気を配るべき。

査読者フレンドリーに(その2)。
査読者は神様ではないしすべてのテーマに精通しているわけではない。普通の人間なので内容が分かってもらえない限り落とされる。落とされるかなりな理由が研究内容が悪いからではなく、研究の内容や価値を伝えられなかったから。 査読者がまだ知らないことを書かなければ論文としての新規性はないわけだが、「新しくかつ価値がある」ことを理解してもらうのは想像以上にむずかしい。人間は新しいことに出会うと、それを既存の知識に照らし合わせてその中で理解しようとする。つまり新しいものであるがゆえに「**と何がちがうのか」と批判されがちである。そこを先回りして、査読者が知っていそうな「既存の知識」との差分が説明されていないとならない。したがって、単にやったことを羅列するのではなく、メリハリをつける。どこが論文の価値なのか、何が新しいのか、をできるだけていねいに、筋道を立てて、査読者にわかるように書く。

「なぜ」この研究をやるのか、をそもそも説明できない人が多い。研究に従事しているうちに、そもそも何でそのテーマをやっているのかが(ある意味自明になりすぎて)自分で説明できなくなる。ので、研究を始めるときに文章としてきちんと記録しておいたほうがいい。

図を効果的に。
英語力で勝負できない日本人はせめて図は綺麗に的確に。査読するときにも図に気合が入っている論文は熱意が伝わってくる。特に英語論文に慣れていない人は、図を整備しながらストーリーを作って行くぐらいのほうが楽。図の説明(caption)を詳しめに書くのも個人的にはおすすめ(本文と多少重複していても構わない。対応する本文を読まなくても図だけで意味が理解できるように)。*1

それぞれの図の存在理由を吟味する。また図のサイズにも気をつかう。あまり本題と関係ない詳細なシステム構成図や、単にページ稼ぎのような画面例などを入れないように。また図中のフォントサイズにも注意(印刷したときにちゃんと読めるように)。

関連研究(参考文献)を吟味する。
査読で一番痛いのは「この論文に似ている○○○が参照されてないじゃないか」と指摘されること(それが査読者自身の論文である場合も結構ある)。その分野のことを知らないで研究していると思われるとまずい。さらに、先行研究があっても知らないふりをした、と思われると研究者倫理上も致命的。一方、あまり関係ない論文をずらずら列挙してもページ稼ぎだと思われる。

ページ制限限界まで書く。
とくにショートペーパー(2page, 4page)で、論文の最後が半端に空いているのは「内容の乏しさ」の象徴に見えてしまう。ショートペーパーの場合、普通は書きたいことをそぎ落としてページに収めている、という前提なので「余白がある=ショートペーパーでもページが余るぐらい内容に乏しい」ということになる。

正しい文章で(あたりまえか)。
「1パラグラフ1主題」とか「事実と意見を混用しない」、「論理を飛躍させない」など「理科系の作文技術」(中公新書)は基本。技術英語関係の授業が取れたら受講しておいたほうがいい(パラグラフや文章構成手法などは英語に限定されないので、日本語もうまくなります)。

研究の心構えについて 「素人のように考え、玄人として実行する」は必読。

英語で書く場合、せめてスペルや数の一致や"a"と"an"などはミスがないように。スペルチェッカーがある時代にスペルミスするのは語学力以前の問題であり、論文を真面目に書いていないと査読者は判断します。LaTeXの参照ミス(図番号が"??"になるなど)も同様。

英語ネィティブチェックは魔法ではない。
英語の表面的なミスは直っても、当然だがロジックやパラグラフ構成など内容に関わるところを直してくれるわけではない。またロジックがあまりに不明瞭だとチェックするほうも想像で修正しだすので、修正結果の品質が著しく悪くなる。あくまで自分できちんと書くように努力するのが大前提。

そもそも、投稿要領に「よい論文の書き方・どうすれば採録されるのか」というのがちゃんと掲載されている場合が多い。審査の手の内を明かしてくれているわけなので、これらを読まずに論文通らないと言っていても始まらない。
http://gatekeeper.dec.com/pub/DEC/SRC/publications/levin/SOSPhowto.html
http://www.acm.org/uist/uist1999/guide.html
http://www.siggraph.org/publications/instructions/rejected
What Makes a Good HCI Systems Paper?
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[ 2012/04/10 10:39 ] お仕事 | TB(1) | CM(1)

メモリ解放ソフト Memory Scope 

Macで、動作を鈍くする位メモリを大量に使用している際、以下のソフトを試してみてはいかがだろう。

入手先はこちら:
http://itunes.apple.com/jp/app/memory-scope/id470372671?mt=12&ign-mpt=uo%3D4

スクリーンショット(2011-11-30 0.34.35)
[ 2011/11/30 00:39 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

【引用】成功した大学院生になる 

ツイッターだったか、Facebookだったかで、よい記事が紹介されていた。訳文とのことだが、新しく研究室に入る学生さんたちへの参考資料としてよさそう。

元記事はこちらです。リンク切れ等があったら残念なので、以下に引用いたします:
http://tsutatsuta.blogspot.com/2011/08/blog-post_12.html



アカデミアやトップ企業における競争は熾烈である.ポジションを手に入れるには,たくさんの競争者のなかから際立たなければならない.

もし面接に呼ばれる人たちのなかに入りたければ,大学院生のうちから,競争に勝てるような仕事習慣を身につけておく必要がある.一生懸命仕事に励みつづけても,必ずしも成功は保証されないが,怠惰で一貫性のない仕事は,アカデミアにおける職探し競争での失敗を保証するだろう.

以下*3 は,大学院生として成功するための推奨項目一覧である.これらのガイドラインは,主要な大学や研究機関でポジションを得られる可能性のある,成功した大学院生となるために必要なことを示している.学位を修得した誰もが研究職につこうとしているとは限らない.他にもたくさんの選択肢があり,生産的な生き方がある.単純な事実としては,最終的に研究や研究と教育を仕事にできるのはたった一握りの大学院生のみである,ということだ.しかし,研究や教育の仕事につくことを考えている大学院生はたくさんいる.以下の項目はそのことを念頭において書かれている.私が,もし人生の他の選択肢について書いたとしても,きっと同じことを書いただろう.


1. ゴールを設定する
長期間,月単位,週単位,日単位のゴールを設定しなければ,時間はあっという間に上滑りしていく.そして,もしゴールが達成できなかったら,それはなぜかを自問し,次につなげること.


2. 自己管理を学ぶ
専門分野の勉強,研究計画の立案,実験,データ解析,論文執筆,学会出席を自分自身で計画立て,計画に従うこと.
時間がないと言ってはいけない.優先順位を設定すること.
文章を書くということに関しては,特に言及を厚くする必要がある.文章を書くのが得意な人はほとんどいないが,何とかしてそれをする方法がひとつだけある.毎日一定のまとまった時間をとり,その時間を「決して」何ものにも邪魔させないことだ.今日は気分がのらない,コーヒーを飲みに行こう,かわりに論文を読もう…そうした安易な選択になびかず,椅子に座り,今日,闘うこと.そして明日も,あさっても同じように闘い続けること.そうすれば,いつかあなたは勝てるだろう.


3. 長い時間,集中して働く
革新的な研究,結果の解析,論文執筆に必要な知識やスキルを養おうとしたとき,長い時間をかけることに代わるものはない.大学院生を40時間/週の仕事と考えてはいけない.ときには70時間/週以上が必要になることもある.そして大事なのは,ただ時間を過ごすことではない.一生懸命働き,一生懸命集中し,楽しむことが重要である.


4. 自尊心をもち,プロとしてふるまう
平均的な大学院生やポスドクをロールモデルにしてはいけない.志は高く.しかし,謙虚に,他者を尊敬することも忘れずに.


5. 幅広く読む
自分の研究分野をかたちづくる幅広いサブ分野 (subdisciplines) に,親しみ,理解すること.専門とするトピックにもっとも近い100の論文を読むだけでは不十分である.もっとも良い方法は,サブ分野におけるメジャージャーナル毎号について,abstructとintroductionに目を通すことである.毎号2時間かけていれば,幅広い視野が得られるだろう.
また,いくつかのジャーナルを読むだけでも不十分である.新鮮なアイデアやアプローチを得るため,他の関連するジャーナルや書籍にも常に目を光らせておくこと.


6. 複数の主要な国際学会に出席し,その学会活動に加わる
そうした学会に参加すれば,最新の結果を知り,同様の仕事をしている他の研究者と話すチャンスがある.発表することが何もなくても,とにかく行ってみることだ.
専門分野の主要な学会活動にも加わること.学会はジャーナルを発行する以上の存在であり,専門とする分野の代弁者である.アウトリーチをしたいと考えたとき,学会はその最大の助けとなる.


7. 研究費申請書の書き方を学ぶ
申請書書きはどのポジションにいても必要となる.まず,うまく通った申請書を見せてもらう機会を逃さないこと.そして,なにが成功の要因だったのかを考えてみること.同じことを,通らなかった申請書についても行なうように.また,間違っても,良い申請書を書こうとしないこと.良い申請書を目指すだけでは十分に良いものとはならない.うまく通るトップ10-25%の申請書は,主要な仮説の検証を提案し,最新の方法を用い,細心の注意を払った実験デザインを提示し,研究費の続く期間で実際に達成できる確実なケースを示している.


8. 主要ジャーナルからリジェクトされるリスクを最小化するやり方で,研究を計画し実行する
サイエンスは非常にクリエイティブな仕事で,含まれるどの過程も重要である.自分で提示した問いに対する安易な答えに飛びつかないように,そして論文を投稿した後はリジェクトされるおそれについて,心構えをしておくこと.
主要ジャーナルにおける競争は過酷で,NatureやScienceは投稿されたうちの90%以上を,専門誌でも66-70%を,リジェクトする.研究のどの段階でもこの数字を意識しておくこと.より簡単な問いへの変更,サンプルサイズの縮小,解釈を強化する実験の省略を考えたとき,査読者や編集者は他の大部分のなかから際立つ論文を探していることを思い出すべきである.主要なジャーナルの編集者は研究の独創性,アプローチの新しさ,観察や実験の一貫性,明確かつ経済的に提示された結果を探している.方法,実験デザイン,解析,解釈は説得力を持っているとみなされるか,自問し続けること.


9. データをチェックし,再度チェックする
数字を記録するときには間違いが起こる.重要なのは,それを見つけだすことである.最後の一個にいたるまですべて.
i ノートにとった数字について考える.
ii コンピュータに打ち込んだ後,それらをチェックする.そしてもう一度チェックする.
iii 打ち込んだデータはプリントアウトして確かめること.コンピュータの画面を見ながらでは間違いを特定できない.
iv 間違いをみつけたら,元データのコピーをとり,訂正すること.訂正したデータは再び全体をチェックする.訂正の最中に新たな間違いを導入してしまうのは,よくあることだ.
v 間違いをみつけられなくなるまで,このプロセスをくり返すこと.これに代わる方法は,データを2回コンピュータに入力し,校正プログラムを走らせ,間違いがなくなるまでプロセスをくり返すことである.
vi 次に,解析対象のサブデータセットをプリントアウトして,それが本当に望んだサブセットになっているか確かめる.
vii これでやっと解析の準備が整った.統計解析を注意深く選び,チェックボタンを間違えていないか確認し,解析する.
viii 結果を論文にコピーするとき,数字をチェックする.
iX 論文のドラフトが完成したら,挿入や欠失がないか,再度チェックすること.
以上9つのプロセスを,すべての解析について実行する.もし最終稿の数字が間違っていた場合,あなたはもう科学者を続けることはできないし,それはあなたやそのほか全員の時間を無駄にすることに他ならない.


10. 問題設定が,重要なものか取るに足らないものかを自問する
個人的には興味があるが,小さく取るに足らない研究テーマを追い求めることは簡単である.数ヶ月ごとに,数時間腰を落ち着けて,研究の方向性を一生懸命考えるべきだ.だからなに?と自問せよ.


11. 何の研究をしているんですか?という質問に対する答えは.種xです とか,xとyの相互作用についてです とかではない
自問したとき,人から聞かれたとき,取り組みたい大きな課題を明確に述べられるようにしておくべきだ.


12. 「まだよくわかっていないから」は研究プロジェクトを立ち上げる理由として不十分
よくわかっていないこと はほぼ無限に存在する.この宇宙に満ち満ちたよくわかっていない現象のうちから,研究対象としてひとつを選ぶ明確な理由がなければならない.


13. アイデアや結果をプレゼンすることに取り組む
この先の人生で,コンセプトや仮説や結果を他者に説明する機会は多くあるはずだ.プレゼン能力は一朝一夕には身につかないから,研究セミナーや授業や会合で,要点を伝える経験を積み,学ぶ必要がある.退屈でうんざりするプレゼンを,これまでにどれだけ聞かされてきて,あなたの時間がどれだけ無駄にされたか,考えてみるといい.同じことは,プレゼンをする立場になったときにも言える.
得られる経験はすべて得て,失敗からは学ぶこと.他の人がどのようにセミナーや授業をしているか注意深く観察して,良いテクニックを真似すること.良いプレゼンの構造は,良い論文の構造とはまったく異なる.プレゼンの目的は,ただ情報を伝えることだけではなく,論文ではできないような幅広い文脈の中にそれらの情報を配置して示すことであるべきだ.際限なく続く図表をただ説明していくのは,もっとも退屈なプレゼンである.聴衆が聞きたいと思っているのは,広い文脈においてその結果が意味することと,それが注目に値すると考えられた理由だ.
最後に,原稿を読むのはやめること.Daniel Janzen (1980) がかつて書いたように,「聴衆の誰よりもそのことをよく知っているあなたが,30分のあいだも覚えていられないことをプレゼンしようとしているなら,聴衆がそれを30分間以上も覚えていることをどうして期待できようか?」.


14. サイエンスは社会的な活動だということを忘れない
すすんで他者に助けを求め,同時に協力を惜しまない限り,科学者として大きな進歩は望めない.サイエンスにおける主要な問いに答えをだすには,ひとりの研究者が生涯で獲得できる以上の専門的なアイデアや技術が必要となる.ダーウィンの書簡のコレクションを見てみると,彼は,常に同僚に協力と情報を求め,求められたときにはそれらを提供していたことがわかるだろう.


15. 他の研究者・講演者をどう紹介するか学ぶ
同僚を他の同僚に紹介する機会はしばしばあるだろう.会話できる共通の話題を,彼らがいち早くみつけられるよう,同僚をそれぞれ端的に紹介する術を学ぶこと.
他の研究者がどのような紹介をしているか注意深く学び,自分の紹介のスタイルをつくり上げる参考にすること.明確かつ手短かに,仕事や業績について語る.紹介する講演者の出身校をつらつら並べるようなことはしてはいけない.聴衆が知りたがっているのは,このトピックの話に,なぜこの講演者が適任なのかということである.


16. あなたはラボの一員である
大学院生としての最初の義務は,他のラボメンバーがしている研究を十分よく理解することである.ラボのみんなが,何をしていて,それはなぜなのかを確実に知っておくと良い.結局,彼らの興味はあなたの興味ともっとも近いだろうから,あなたはそのラボを選んだわけで.


17. 無名のジャーナルに短報を書いて時間を無駄にしないこと
主な実験,観察,モデル構築,メジャージャーナルに投稿する論文執筆に集中すること.無名のジャーナルに投稿した短報は半ダースもあるがメジャー論文がひとつもない履歴書には,人事委員会はだまされない.未発表の研究は存在しないに等しいので,論文を発表することは極めて重要だが,確実な成果を示した大きな論文をパブリッシュすることに集中すべきだ.


18. 指導教員に論文のドラフトを渡したあと,それを出版や学位論文のために提出できるようになるには,最低でも数ヶ月の期間がかかると考えておく
指導教員に,図表や節の欠けた原稿を渡してはいけない.そのあたりに関しては,プロであるように.あなたなりにベストだと思える第3稿や4稿の原稿を提出すること.だからといって,執筆中に,指導教員に質問したり,IntroductionやMethodsの検討をしてはいけないということではなく,それらはぜひするべきである.また,執筆前に,図表や解釈の検討も,指導教員とともにしておいたほうがいい.しかしその後は,アドバイスとあなた自身の熟考をあわせて,議論の流れが見えるように,原稿の全文を仕上げる.最終的に提出する原稿は,指導教員にはじめて見せたものと大きく変わっているが,曖昧で不完全な原稿から完璧な原稿をつくりあげていくより,ある完璧な原稿から別の完璧な原稿をつくるほうがずっと簡単なのだ.
あなたと指導教員が,十分読めると判断しない限り,原稿を学位論文の審査委員会に提出してはならない.
提出後,一週間くらいで返答がもらえると期待してはいけない.審査委員会が提出された原稿に返答するには,最低でも2週間はかかるだろう.もし返答を急がせるのであれば,コメントはもらえないか表面的なものにとどまるだろうし,思慮深いコメントに注意を払わないのだなという印象を与えてしまうだろう.
最初に指導教員に原稿を見せてから,あなたと指導教員がいくつかの原稿を精査し,審査委員会が論文をレビューするまでには,数ヶ月が経過しているだろう.もし3月か4月に学位を取りたいのであれば,1月までには,学位論文の”すべての”部分の初稿に,指導教員が目を通している必要があるし,多くのことはそれ以前にやっておく必要がある.こうすれば,審査委員会に提出する前に,あなたと指導教員は原稿を検討する十分な時間を確保できる.
審査委員会が要求するはずの,追加の統計解析や解釈の変更に対応できる時間を,確保しておかなければならない.


19. 最低でも学位取得予定の1.5年前には,ポスドクのポジション探しをはじめておく
主要大学の主要ポジションの多くでは,ポスドク経験を持っていることが推奨されている.そのような条件がなくても,ポスドク経験は競争優位性に寄与する.しかし,申請書が提出されるときには,すでに誰がポジションにつくか決まっていたり,過去に会話したりメッセージをもらったりした研究者のうちから,少なくとも数人の候補のリストができていたりすることが,しばしばである.あなたは,その候補のなかに自分の名前が入るようにしなければならない.
ポスドク資金は他にも,NSF,NIH,NATOから入手可能だが,誰かがあなたのスポンサーになり,申請書も書かなければならないことは理解しておく必要がある.申請書は完成させるのに時間がかかるので,提出までに十分な時間を用意しなければならない.10月に突然コンタクトをとり,12月1日の申請書提出に間に合うよう協力を依頼するようなことを期待してはいけない.十分な時間を用意しておくこと.


20. やりとりの基本単位は3つ
原稿を読んでくれと同僚にアドバイスを求めるとき,彼らが返事をくれたあとには必ずお礼を言うこと.基本単位は以下の3つだ.あなたが聞く,彼らが答える,あなたが再度返答する.彼らのコメントに対して,あなたはお礼を言う義務を有している.誰かがあなたに意見を求めてきて,あなたは貴重な時間を割いてレビューしてコメントを返して,その人はコメントに対してどう思ったか考えている場面を想像してみてほしい.もしその人から返事がなければ,あなたは利用されたと感じるだろう.そして,そんな人に再び協力しようとは決して思わないだろう.


21. 研究の目的は,世界がどのように成り立っているかについての,面白く重要な問いに答えることだと忘れないように
上記のすべてのプロセスにおいて,なぜあなたはそれをやっているのか忘れないようにしておくこと.もし答えが,魅力的な仕事につくためにただ学位をとりたい,というものであれば,ポジションを得て維持していくのに必要な努力を続けられないだろう.もしプロセスを楽しめないなら,人生は不満足なものとなってしまう.学術的な問いを立て,実験をデザインし,結果を解析し,答えを得て,論文を執筆し,他の研究者と議論するすべてのプロセスを深く楽しむことのみによって,これらの,時間を必要とする努力を維持することができる.あなたは,心の底から,答えを知ろうとしなければならない.


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*1 もともとは @thinkeroid さんのtweetにあったリンクを拝見して,この文書の存在を知りました.ありがとうございます.
*2 「成功」の定義は人によってさまざまでしょうし,私自身「成功」という言葉を使いたくありませんでしたが,原文にならい,アカデミアのjob marketで職を得る ということを「成功」と定義し,便宜的に使用しています.
*3 項目には便宜的に番号をふっていますが,原文にはついていません.

[ 2011/11/19 09:45 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

「大学ブランド・イメージ調査 2011-2012」【首都圏編】の結果 

日経BPコンサルティング調べによる、「大学ブランド・イメージ調査 2011-2012」【首都圏編】で、本学が6位にランクインしていました。このようなランキングについては色々意見がありますが、好評価をいただくと嬉しいものです。

(参照)
http://consult.nikkeibp.co.jp/consult/news/2011/1109ub_ct/
[ 2011/11/17 19:35 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

ドイツ・ブッパタール大学訪問(3) 

ブッパタール滞在は今日が実質的に最終日です。業務としては、ヴッパタール大学の副学長さんからご招待いただいた、university ball(舞踏会)というイベントへの出席のみです。
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舞踏会は夜に始まるので、日中、デュッセルドルフを散策してきました。日本からヴッパタールへ行く際はデュッセルドルフ空港で降りるのですが、いつも移動のために立ち寄るくらいで街をあるくのは今回が(4回目の訪問にして)初めてです。
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大学から同行したGさんが行きたがっていたカフェで昼食。
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このお店は有名らしく、夜にあったヴッパタール大学のJ先生に写真を見せたところ、「あぁ、よく知ってるよ」とのことでした。

この店でとったランチはウィーン風カツレツ。デザートは、私はパスしたのですが他の方々が食べた物を撮らせてもらいました。
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満腹になったので、ライン川沿いや旧市街を歩いてヴッパタールへ戻りました。
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軽く夕食を取った後、J先生が迎えに来てくれて皆で舞踏会へ。会場はオーケストラの演奏会が開かれるような立派なホールです。
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卒業生を含む大学関係者、地元の名士(?)など1000名を超える人々が集い、午前2時過ぎまでダンスやパフォーマンス、カジノに興じます。私はダンスやギャンブルのたしなみも無いので、建物の中の色々な部屋を覗いて回っていました。こちらに留学中の物理学科の学生たちとも会ったのですが、彼女たちは踊る気満々。我々は副学長への挨拶を終えて程なくホテルへ帰ったのですが、学生たちはダンスに参加できたのでしょうか。
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これでヴッパタールで予定されていたすべての業務を終え、明日日本へ戻ります。
[ 2011/11/06 14:38 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

ドイツ・ブッパタール大学訪問(2) 

時差ボケに悩まされながらも二日目の日程をこなします。
午前九時からブッパタール大学の語学センターや大学院生支援センターでの面談を駆け足でこなした後、本留学プログラムの合同(ドイツ側、日本側)実行委員会の会議が行われました。昨日の面談結果から、今年度の留学生の学業や生活面での様子について、また改善点や要望などについて意見交換を行いました。

昼食後、こちらに留学中のYさんと研究テーマの件について打ち合わせをしたあと、夕方からは彼女のこちらでの指導教員であるK先生と面談。その後、Yさんの案内でブッパタール市内のビアホールへ大勢で繰り出しました。

ブッパタールには、世界最古のモノレールが現在も運行されており、それに乗って行く事を楽しみにしていたのですが、あいにくと今日は運行中止。しかたなくバスで向かいました。
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予想していたよりも随分と大きなビアホールです。
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院生たちとのおしゃべりしながら、地元のビールとカレーソーセージを堪能しました。
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[ 2011/11/05 13:48 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

ドイツ・ブッパタール大学訪問(1) 

ドイツにある、バーギシェ・ブッパタール大学を訪問中です。
本学は学振の支援を受けて、本学の理系大学院生をブッパタール大学へ留学に送る5年間の事業を行なっていて、今回が4年目です。私は2年目から実行委員としてこちらを年1~2度訪問し、今回で4度目です。

11月2日に成田を発ちました。今回のフライトは全日空。(もちろんエコノミーですが)シートも少し広く、映画プログラムも充実していて、12時間の長旅ですがそんなに苦になりませんでした。映画は「猿の惑星:創世記」やハリーポッターの最新作などを見ましたが、合間に来週の講義ノートも作れたので、それなりに有意義な時間の使い方ができました。

フランクフルトで乗り換えてデュッセルドルフ空港に着いたのが現地時間の午後6時間頃。荷物をピックアップして空港ロビーにでると、ブッパタール大学側の本事業責任者のJ先生が車で迎えにきて下さいました。ブッパタールまで電車を利用すると40分ほどかかるので、迎えに来てくださって大変助かりました。

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ホテルはブッパタール駅前の、毎回利用しているホテルです(写真はブッパタール中央駅の建物)。このホテルももう三度目なので勝手知ったる宿なので、到着するとほっとします。
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疲れているにも関わらず、時差ボケであまり眠れませんでしたが朝食をきちんと取って大学へ。
理学部の建物に入るとフーコーの振り子が迎えてくれます。
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この日の業務は、留学中の本学院生達との面談。授業の履修状況や生活面について聞くのですが、皆さん病気もせず、元気に逞しく過ごしている様子が伺え、安心することができました。

夜は先方の先生や事務を担当する方等の関係者、本学留学生と我々で夕食会。街の中心から少し離れた丘の上にある、イタリアン・レストランに案内していただきました。入るといきなり暖炉が:
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まずは白ワインで乾杯(時差ボケでくたびれているので、アルコールはこの一杯だけ)。
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サラダとパスタとデザートという構成でしたが、とても美味しくいただきました。
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[ 2011/11/04 11:44 ] お仕事 | TB(0) | CM(1)

ハロウィン終了 

すでに今年のハロウィンも終わりましたが、毎年恒例の研究室飾り付けの写真を載せておきます。

素粒子論研究室は教員部屋と学生・ポスドク部屋が合計6つほどあるのですが、現在はたまたま全ての部屋がほぼ隣同士もしくは向かい合わせで、フロアの廊下奥に陣取っています。ということで、廊下のある地点から奥に入ると、突然うちの研究室による飾り付けが始まります。
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毎年、10月の終盤になると我々教員が帰った後に、つまり我々が気づかないうちに院生達が飾り付けをしてくれるので、翌朝出勤してきてビックリ、ということになります。少し近寄ってみます。
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ハロウィン当日には自分たちでお菓子を持ち寄って、お昼休みに食べていました。私にも声をかけてくれたのですが、次の授業が迫っていたので辞退。残念!
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学生さん達は私のオフィスのドアノブに(もちろん研究室の他のドアにも)、カボチャの形をした籠をぶら下げていてくれるのですが、ハロウィンの夜が明けて、出勤してみるとお菓子が詰め込まれています。何年か前に初めて学生さんたちが飾り付けをしてくれたときは、私がこっそり朝早くにキャンディを詰めていたのですが、最近はさぼってしまっています。代わりにどなたかが詰めてくれているのでしょう。感謝です。
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ということで、今年のハロウィン報告でした。
[ 2011/11/03 12:20 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

KIAS訪問(6)最終日 

韓国滞在の最終日。
午前中まで講義は続く。今日は神崎さんによる、GPUを使ったMatrix Elementsの計算や、モテカルロシミュレーションについて。たとえば q-qbar -> n-photonやn-gluonで最大100倍の計算速度の向上が見られている。これはすごい。つまりLHCのような膨大なデータを貯めて解析するような実験で、解析のための計算処理が100倍早くなれば、ストレージもその分、少なくて済むし、色々なところでの負担軽減につながるだろう。KEKのサーバーとつなげてGPU演算のデモを予定していたのが、ネットワーク回線の接続の悪さのために実効できなかったのが残念。

そんなこんなで無事に全日程が終了し、今回お世話になった色々な方々と挨拶をかわしてタクシーで最寄りのフェギ(回基)駅へ。ソウル駅への道中、学生と日本語で話していたら突然老婦人が日本語で話しかけてこられ、学生に席を譲ってくださった。聞けば14歳の時に韓国に留学したものの、日本へ戻る連絡船が出なくなってそのまま韓国に定住したのだそうだ。きっと孫娘のような学生の日本語を聞いて懐かしく思われたのだろう。

当初、ソウル駅でコインロッカーにスーツケースを預けて、駅周辺を散策しようとしていたが、雨だしコインロッカーは空いてないし、ということで昼食をゆっくりとって空港へ向かうことにした。日本では例の食中毒事件以降、高額商品となってしまったので石焼ユッケビビンバを注文。汗をかきながら完食。
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金浦空港に到着後、出発直前までおみやげ屋さんでウロウロ。家族用に新商品(?)のマッコリチョコレートを購入。試食してみたが、特にマッコリの味がするでもなく、普通のミルクチョコレートという感じ。ちなみにここではキムチ・チョコレートやら韓国海苔チョコレートやらの珍品(?)があるが、個人的には冒険せずに普通のチョコレートを買っている。余談だが「冬のソナタ」チョコは健在。さすがにヨン様の顔写真は、契約切れなのかパッケージには載っておらず。
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これも余談だが、相変わらずこの土産屋の店員さん達は客に張り付いて色々と売りつけようとするので辟易とする。いくつか外国の空港に行ったことがあるが、ここほど店員の押しの強いところはない。まぁ、嫌な思いをするのがわかっているならお店に入らなければよいだけなのだが…

離陸後、羽田まで極めて順調なフライト。羽田到着後、飛行機のドアがあくまで客室乗務員のお姉さんとソウルの気候について情報提供(彼女はソウルについても街には出ずに、そのまま羽田へ戻る便で帰ってきてしまうため、気候について実感が無いらしい)し、ターミナルへ。
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今回はこの数年では珍しく1週間の長旅(?)だった。早く社会復帰せねば。
ということで、韓国出張記録でした。


[ 2011/10/30 20:22 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)

KIAS訪問(4) 

日程も4日目に入り、ちょっとくたびれてきたところです。
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写真はKIASのキャンパスから見た風景。もう少し気温が下がれば、紅葉が美しく色づくのでしょう。

今日の講義はパートンシャワー及びNLO計算について。だいぶ難易度が上がってきた気がします。午後のチュートリアル・セッションは昨日に引き続き、FeynRulesの実習。Mathematica8をインストールしたので、今日はフル参加できました。練習問題としてSUSY QCDxQEDのラグランジアンをFeynRulesに入力してMadGraph5用のアウトプットを作ろうとしていたのですが、細かい所で使い方を誤り、手間取りました。でもFeynRulesの作成に関わった人から直接サポートをしてもらえるので、とても効率の良いチュートリアル・クラスとなっています。

今日のチュートリアルを終えるとバンケット。参加人数からすると明らかにたっぷりのご馳走が用意されていました。大変楽しんだのですが、すぐに満腹になってしまい、残念ながら全ての料理を味わうことはできませんでした。
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デザートを食べ終わってくつろいでいるところに、突然食後のスピーチを頼まれました。不意をつかれたので戸惑いましたが、スクール主催者の方々への感謝と講義やモンテカルロ・ツールの実習で多くを学べたことについての感謝を述べ、今後これらのツールを使って研究論文を書くことがあれば、論文の謝辞で此のスクールについて記すことを約束してスピーチを終えました。
[ 2011/10/27 22:23 ] お仕事 | TB(0) | CM(0)
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